Live

08/11/15|Indian Jewerly/These Are Powers
13Nov2008/Barden's Bourdoir
08/11/14|Fleet Foxes
10Nov2008/Shepherds Bush Empire
08/11/07|Rolo Tomassi/Fucked Up
6Nov2008/Barfly
08/11/01|Release The Bats(ATP concert)
31Oct2008/The Forum
08/10/04|TV On The Radio
3October2008/Cargo
08/10/03|Iglu&Hartly
29Sep2008/Cargo
08/09/17|End of The Road Festival appendix
12-14September/2008 Larmer Tree Gardens
08/09/16|End of The Road Festival Day3
14Spetember/2008 Larmer Tree Gardens
08/09/16|End of The Road Festival Day2
13September/2008 Larmer Tree Gardens
08/09/16|End of The Road Festival Day1
12September/2008 Larmer Tree Gardens
08/09/10|Ponytail
4September/2008 Barden's Boudoir
08/09/09|Plush/The Autumn Defense
3Sep2008/The Luminaire
08/09/08|Rough Trade Instores
The Gaslight Anthem,The Breeders
08/08/30|Conor Oberst and The Mystic Valley Band
27August2008/The Electric Ballroom
08/08/14|Cold War Kids
11Aug2008/Bloomsbury Ballroom
08/08/05|Calvin Johnson
3Aug2008/Elizabeth House Youth Club
08/07/29|Daniel Johnston/Butthole Surfers
26July2008/Rough Trade East--The Forum
08/07/27|Fuji Rock Festival
25July2008/Naeba Suki Resort
08/07/25|The Flaming Lips
20July2008/Lovebox festival
08/07/14|The Magnetic Fields
10July2008/Cadogan Hall
08/07/09|Neon Neon
06July2008/Cargo
08/07/08|Beck/Morrissey
04July2008/Wireless Festival@Hyde park
08/07/05|Jandek
15June2008/The Nave
08/07/01|Glastonbury Festival Day2
28June2008/Worthy Farm
08/07/01|Glastonbury Festival Day1
27June2008/Worthy Farm
08/06/27|Pivot/White Williams
12June2008/Barden's Boudoir
08/06/25|Radiohead
24June2008/Victoria Park
08/06/22|My Bloody Valentine
20June2008/Roundhouse
08/06/17|Fleet Foxes
11June2008/ULU
08/06/12|Bon Iver
04June2008/St Giles In The Fields

コナー・オバースト

End of The Road Festival Day1

12September/2008 Larmer Tree Gardens

Kelley Stoltz
child in the rain
Dirty Three
Conor Oberst&The Mystic Valley Band

夏の終わり、9月にひっそり訪れるフェス――ということで、以前から興味をそそられていたEnd of The Roadフェスティヴァルに行って来ました。昨今のイギリスは(世界的な傾向の例に漏れず)年々ロック/音楽野外フェス乱立気味になっていて、6月グラストンベリーから8月レディングまでの2ヶ月強、そこかしこで音楽が鳴る状態になっている。しかし昨年から漂ってきた「そろそろ需要が供給を上回ってきたか」という飽和フィールは、今年のUK夏フェス・シーズンにおおむね感じられるものだったんじゃないかと思う。定番ブランドとして確立しているグラスト/レディング、および後発ながらフェス暦に名を刻んだV/Tイン・ザ・パークはさておき、それ以外の大小フェスやローカルな新規フェスは苦戦していた。中には直前でキャンセル、なんてものもあった。まあ、今年は冷夏&雨のせいでアウトドア熱(キャンプ、バーベキューなど)が一向に盛り上がらなかったってのもあるんだろうけども。
そんな中で過去数年の間に頭角を現してきたのが、よりマニアック(?)なオルタナティヴ・フェス。こっちでは「ブティック・フェス」なんて呼ばれることもあるけれど、①オーディエンス数は少なめ②ラインナップは他のメジャー・フェスに較べ渋い③音楽以外のエンターテイメント(コメディ、ワークショップ、文学イベント他)も盛りだくさん④お子様ウェルカム、というのが基本ラインになる。言い換えれば、ヤングだけではなく20代後半~元ヤングな(でもフェスの味は知っている)壮年層もターゲットなフェス。中でも急成長株なのが7月Latitude(2006年からスタート)、8月Green Man(2003年~)&9月Bestival(2004年~)あたり。グラストとレディングを仕切る大手Festival Republicが運営するLatitudeはさすが宣伝力で他を大きく引き伸ばしていてメジャーな出演者も多いが(昨年はアーケード・ファイア、今年はシガー・ロスをゲットとがんばってます)、ウェールズの自然に抱かれフォーク/サイケに浸りたいマッシュルーム系な人にはぴったりなGreen Man(昨年から1万人規模に拡大)、仮装パーティーというテーマのある遊び人御用達Bestivalと、よりニッチなテイストを誇るクオリティ重視な音楽ファンのニーズに応えることで毎年ソールド・アウトにまで持っていってるんだから大したものだと思う。End of The Roadもそんなプチ・フェスのひとつで、オーガナイザーはそれこそGreen Manに感銘を受けて自らこのフェスを始めたという。フォーク~アコースティック~アメリカーナ系の地味渋ブッキングが多いのもなるほど納得だが、それだけにチケットが売リ切れたのも開催1週間前くらい。しかしフェス熱が沈下した9月半ばという頃合にドーセットとウィルトシャーの境にある風光明媚なヴィクトリア朝庭園Larmer Tree Gardensを舞台に繰り広げられるこのフェス、オーディエンス数5000(これ以上大きくしたくはないそうです)というナイスな規模とも相まって、「秘密の花園」とでも言うべき素晴らしい体験をもたらしてくれた。出演者の多くもそのインティメイトな雰囲気と優雅な景観、観客のマナーの良さにすこぶる感銘を受けていたけれど、オーディエンスだけではなくバンド/アーティスト側も、今後は「数打ちゃ当たる式」ではなく、フェスそのものの質の高さやポリシーを考えて出演数を絞るようになったらいいのになと感じた。今年のUKフェス・サーキットに飽和感が生じたのはヘッドラインや目玉アクトを除くとほとんど同じ顔ぶれのインディ~NMEバンドがゴロゴロしていたからというのは間違いないし、「今年はこのフェスにしか出ない/このフェスでしか見れない」というアクトが増えた方が、フラテリスやピジョン・ディテクティヴスを何度も見せられるよりはオーディエンスも遥かに嬉しいんじゃないだろうか。

前置き考察が長くなったが、まずは1日目。ロンドン:ウォータールー駅から電車で1時間半強、最寄り駅Salisburyに到着。行きの電車に乗っていた若者は、ほとんどがEoR客だったようだ。ここからはシャトル・バス(往復6ポンド)の出番で、30分ほど待ったが2台目に無事乗車。人員整理していたおじちゃんによれば、午後1時以降が金曜到着組のピークということで、早めにロンドンを出て良かったなーと思う。ちなみにこの駅からは遺跡ストーン・ヘンジを巡る観光バスも出ているので、考古学に興味のあるインディ・ロック・ファンには一石二鳥かもしれない(そんな奴いないか・・・)。途中運転手が道に迷う(笑)という場面もあったが、バスに揺られ約40分、目的地Larmer Tree Gardensに降り立つ。リストバンド引き換えもスムーズだったし、ペイパーレス・チケットを奨励しているフェスだけに、たくさんのお客が携帯電話のバーコード・チケットを利用していたのも印象的だ。
馬小屋のある斜面を過ぎ、広々とした草原の中にある林に囲まれたキャンプ・エリアに入る。会場出入り口に近いエリアに充てられた家族向けキャンプ・サイトおよびプレハブ式賃貸テント群を通り越し、まずはテント設営。前日の雨で地面が柔らかいのはありがたかったけれど、頭上に広がる曇り空を見上げてやや不安になる。前週のBestivalが強風&雨でさんざんだったというリポートもあったことだし、今年は「イギリスは8月後半~9月の方が(気温は低いが)おおむね天気は良く乾燥」というセオリーは当てはまらない模様。うーむ、やはり泥は避けられそうにありません。入口で荷物チェックを受けるが、思い起こすと中身をチェックされたのは3日間通じてこの1回きりだった。規模が小さく、またファミリー客や年配客が比較的多いフェスだけにドラッグだのガラス瓶を持ち込みたがる血気盛んな若僧が少なめという前提状況もあるんだろうけど、セキュリティや場内整理のスタッフがガチガチにこちらをコントロールしようとするのではなく、観客の自主性と良識を信じる「性善説」型とのも嬉しい(そういやこっちのフェスには珍しく警官もひとりも見なかった。私服で紛れ込んでたのかな?)。CCTVカメラが至るところに設置されていて、「監視されている」という1984的感覚がなんとなく常にあるイギリスではこの風通しの良さは新鮮だ。もちろん、食べ物やおやつ、飲み物(ペットボトル)は持ち込み可能。
音楽ステージは計4つで、メインの野外ガーデン・ステージを除く3テントはすべて入ってすぐのフード~物販エリアの中に位置している。去年行ったTruck Festivalよりも広く、フジで言えばグリーン・ステージ圏がすっぽり入るくらいの規模かな(もっともこっちは平地なので歩行はいたってスムーズでしたが)。100人も入らない小さなテントBimble Inn、ロンドンのヴェニューThe Localによるテント(200人程度?)は小粒だったけど、ビッグ・トップ・ステージはかなりの大きさで1500人くらいはマックスで収容できそう。通路を抜けたその奥に位置するガーデン・ステージ、これは本当にきれいだった。もとは貴族が所有~一般にも公開されるようになったこのガーデン、普段もコンサートや結婚式に使われているそうだが、一面の芝生がステージに向かってなだらかな斜面を形成しているので背丈では外人に劣る筆者でもステージを見渡すのにほとんど苦労せずに済むのは嬉しい。手入れの行き届いた樹木、東屋や小ステージ(野外シアターでもやるのだろう)がぐるりとステージ・エリアを囲む様はまさに緑の中の音楽会という趣き。野趣に富んだ自然に抱かれるのもいいけど、手の加わった自然というのもまた別の美しさがありますな。また、このお庭の名物が孔雀とオウム。カラフルなオウムはバサバサと樹の間を飛び抜けていくところを1回目撃したきりだったが(でもギャアギャアと啼き声はよく聞いた)、孔雀とは観客の間をのんびり歩いている姿に早速対面できたし、ガーデン・ステージの裏手にある庭園だの孔雀小屋の屋根の上で餌をついばんでいる姿など、会期中何度か見かけた(みんな写真撮りまくり)。さすがに羽根を広げた姿は見れなかったけれど、屋根から高い樹の枝に飛び移る様にはびっくりした。孔雀ってあんなに飛べるもの?!と見上げると、よくよく眺めればその樹には10羽も孔雀がとまっていて、更に仰天させられた。

イギリスでこの手の庭園に入ったのは初めてだったので新鮮な驚きに興奮してしまったが、ガーデン・ステージのトップ・バッター=Someone Still Loves You Boris Yeltsinからいよいよライヴ開始。キャッチーなギター・ポップ~パワー・ポップ・バンドで、ビブラート気味のヴォーカルで歌われる明るいメロディは昼下がりの空気にぴったり。初日一番手でお客が少ないのは可哀相だったけど、それはビッグ・トップ・ステージで観た Gossamer Albatrossも同様。チェリストとヴァイオリン+アコースティック・ギターというクラシカルな編成のバンドで、パトリック・ウルフを分かりやすくしたようなバロック・フォーク・サウンドは悪くなかったです。再びガーデン・ステージに戻り、この日最初のお目当てであるサブ・ポップのガレージ・ポッパー(ガレージなサブ・ポッパー?)=Kelley Stoltzを観戦する。なぜかロンドンでのライヴを逃しっぱなしだったのだけど、やっと観れたケリーさん、ジョセフ・アーサーとジェイムス・ブラントを足して二で割ったような風体ながらヴィンテージなパワー・ポップをポンポンはじき出してくれてご機嫌。バックのメンバーも年季の入ったオヤジ・プレイヤーだったが(ごめん)、リンク・レイのインスト・カヴァーから始まった演奏は実に達者。ブレンダン・ベンソンの友達だけありますな。ウィットに富んだ曲間トークを交えつつ(深夜ラジオのDJっぽい口調がそれだけでも笑いをそそる)、キンクス直系のメロディックでキレのいいロックンロールに最初はゆったり座り込んで観ていたお客も少しずつ立ち上がりはじめ、最新作からの「Gardenia」や「Your Reverie」のグルーヴィなリズムに踊り出す人も。カントリー曲にはコステロ味すらあって、ツボをことごとく押してくれるねえ。もっと小さなステージの方が映えるタイプの音楽だと思うけど、いいソングライターだと思います。また、このステージはPAも優秀で満足。
しかしケリー・ストルツ後半からポツポツ降り出した雨はスコールのような大雨に変り、サイトのほとんどが泥でぬかるんでいく。哀感のあるジプシー・メロディとジェレミー・バーンズの(文字通り)全身を使ってのパーカッション演奏ぶりが素晴らしい A Hawk and A Hacksawをパスしたのは残念だったが、前日の寝不足もたたって雨の中立っているのは辛く、テントに戻って小休止。プログラム(4ポンドと高かったけど、このフェスのアクト選出にも協力した頼りになるUKインディ音楽誌:Plan Bが音楽ページを執筆・編集していて読み応えあり)を眺めたりするうちに6時頃には雨も止み出し、少し元気も出たところで人気のシンガー・ソングライター=Micah P. Hinsonをちょっとだけ観に行く。この人はアルバム・デビューした頃に観て、ムラのある演奏とキャラに寄りかかり過ぎ?な詩人ぶりっこにがっかりさせられて以来避け気味だったんだけど、ソロではなくバンドを伴ってのこの日のプレイは非常に迫力があって、太くしわがれた声で叩きつけるように歌う精悍なアメリカン・ロッカー~ウディ・ガスリーの魂を受け継ぐシンガーのひとりに成長していて、見直しました。雨もすっかり上がったところで、この日のメイン・ステージの目玉=Dirty Threeが登場する頃にはフィールドもほぼ埋まっている。雲の合間を見え隠れする満月一歩手前の月に見下ろされ、ミック・ターナー、ジム・ホワイト、そして一際高い喝采がウォーレン・エリスに注がれる。ニック・ケイヴTシャツの輩は場内で結構見かけたが、バッド・シーズ・サポーターはどこに行っても熱いっすね。しかしそれ以上に熱かったのがバンドで、1曲目「Some Summers They Drop Like Flies」からエネルギー全開!繰り返し襲い掛かるハイ・テンションと音の波に洗われ、おとなしめだったオーディエンスもこの日初めての大歓声を上げ始める。ジャケットを脱ぎ捨ててぼさぼさ髪を振り乱し、背面エビ反り・キックと激しいアクションを決めながら演奏するウォーレンは、さながら悪魔メフィストといった風情(前日起きたユーロ・トンネルでの火災事故に「俺の仕業だ!放火してやった!」と冗談を飛ばしていたけど、あの風体だとあんまシャレにならない・・・曲の最後に投げキッスを振りまいたり、やたらセクシーでもありました)でステージをのしていく。しかし「Everything’s Fucked」でのミック・ターナーのさざなみのごときギターの深い音色と哀感も絶品だったし、「Sea Above, Sky Below」のカコフォニックな慟哭も圧倒的。これまた冗談で「このフェスは〝End of The Earth〟 Festivalだっけ?」とMCしてお客を笑わせていたが、彼らの音を聴いていると荒涼とした平野や無人の浜辺といった世紀末的ヴィジョンが浮かんでくるんだから不思議だ。めくるめく哀切のメロディからドラマチックな高揚~三つの音が一体となってむせび泣くスペクタクル「The Restless Waves」の激しいエモーションに揺さぶられ、10分以上の「Sister Ray」ばりのホワイト・ノイズ・ジャムへなだれこんでの痺れるようなフィニッシュには観客も総立ち(というかそもそもスタンディングなんだが)で惜しみない喝采を送っていた。間違いなく3日間でベストのパフォーマンスのひとつでした。
裏ではこれまたエモで泣きなAmerican Music Clubが年配男性客から涙を搾り取っていたが、先月のロンドン公演にいまいち納得のいかなかった Conor Oberst&The Mystic Valley Bandのリターン・マッチに待機。結論から先に書くと、演奏も安定してコナーもちゃんと歌ってくれたし、バンカラでレイドバックしたロックンロール・トラヴェリン・バンド(気心の知れた仲間同士の合宿ノリというか、いい意味で男臭い)とでも言うべきこのユニットの主旨がはっきり提示されるようになってとても良かった。そのノリを強めていたのが、ローディーからメンバーまで全員お揃いで着込んでいた、背中にバンド名を縫い取った黒サテンのスタジャン・・・ご丁寧に胸にはそれぞれの名前まで刺繍されてるよ・・・チーマーかい?!とつい爆笑してしまったし、その上フェス仕様長靴姿のコナーには田舎の野球高校生チックな雰囲気すら漂っていて演奏中何度も笑いがこみ上げてしまったけど(すまん)、シリアスになり過ぎず、若僧らしい茶目やジョークを躊躇せずに出せるのはこのバンドならではなのだろう(メンバーはステージでコロナを飲んでいてメキシコへのトリビュートも徹底していたし、ライヴの間中ずっと「僕達ディセンバリスツでーす」「アーケード・ファイアです、カナダから来ました」「どうも、デス・キャブ・フォー・キューティーです」等、インディ・ファンを刺激するイヤミとも、あるいは自虐的ともとれる軽口を叩いていたのもおかしかった。なんか妙でどこかずれたヴァイブがあるんだけど、コナー自身その妙さを楽しんでいるというか。この人はなかなかバカになれないので、これくらいやってOKだと思う)。その若々しさはビートルズ~モンキーズ風なガレージ・ポップのオープニング「Central City」から一気にキック・オフし、コナーも1曲目から激しいアクションを見せる。こういうオーソドックスなスタイルの曲をプレイすること自体珍しいので驚いたが、メンバーがとても楽しそうにプレイしているのは見ていて気持ちいい。やけくそ、というのではないけど、細部にこだわらず突っ走る快感がこのバンドのキモだろう。そのまま「Danny Callahan」のイントロへスイッチ(ギターで思いっきりつまづいていたが、それもご愛嬌)、レコードで聴く以上にタフさを増した音で観客を沸かせていく。しかしコナー本人は割りとすぐに落ち着きを取り戻し、バンマスとして全体をコントロールしていたのは立派。「このフェスの出演者すべてに捧げます」とアナウンスして始まった「Moab」は音楽の旅路を行く人間なら誰しもぐっとくる曲だと思うが、バンドの演奏も息がぴったり合ってきて歌声の説得力と合わさり素晴らしい出来映え。身振り付きで歌われた「Eagle On The Pole」が切々とした余韻を残した後、「Sausalito」のカントリー・ロック調(「Handle With Care」カヴァーのノリがこの曲のモデルか?)、アタック感のあるバンド・サウンドがばっちり決まった「Get-Well-Cards」と爽快に続いていく。ニック・フレイタスはすごくセンスのあるギターを弾く人だな。前半のハイライトは「Lenders In The Temple」で、野外とは思えないほどシーンと静まり返った空気の中、静かに降るネイトの抑えたキーボードとギターに言葉と思いが突き刺さっていく様は寒気を覚えるほど。こういう曲を歌わせると、この人はやはり無敵だ。
続く「I Gotta Reason」ではドラムスのジェイソンがリード・ヴォーカルを担当(コナーはウラ声コーラス)。アコギのイントロからフル・バンドに突入するグルーヴィな新曲をもう1曲披露し、おなじみのアルバム1曲目「Cape Canaveral」の時計のようなビートとジェントルなトーンにお客も再び活気を取り戻す。ネイトのエレピが光るどブルーズな新曲「Corina Corina」でダウン&ルーズな雰囲気を生み出す・・・にはやっぱりコナーの声はまだ青臭いんじゃないかと思うが、ジョン・レノンがソロで歌いそうな楽曲のトーンそのものはニュー・チャレンジで悪くない。そこから「NYC-Gone,Gone」の豪快なブラスト~「Souled Out!」のざっくりしたディラン味という流れにオーディエンスも盛り上がっていたし、ひょうきんな表情で歌うコナーの姿には解放感すら漂う。続く「I Gotta Reason」(同じタイトルの別曲)は堂々たるアメリカン・ロックへ競りあがっていくいい曲で、ハンド・マイクで歌いながら合間にピルエットを決めていたほどノリノリだった。ニック・フレイタスがヴォーカルをとった曲に続き、昔臭いソウル・レヴュー風(ドラム・ロールが派手なあの感じね)にメンバー紹介。オーディエンスもそのコミカルで楽しい様子にニコニコしていたのだが、どこかのバカが「ブライト・アイズの曲を演れ~~」と声をかけたのにやや機嫌を損ねたのか(?)、めちゃめちゃエネルギッシュな「I Don’t Want To Die(In The Hospital)」はすべて吹き飛ばさんばかりの勢いで突進していった感じ。中間部のジャムも熱がこもっていてメンバーが存分に暴れているし、この曲はライヴを重ねるごとにどんどん成長しているご機嫌なロックンロール・チューンだ。しかしラストは繊細際まりないフォーク・モノローグ「Milk Thistle」で、その震えるような歌声で前方を埋めた少年少女たちの瞳を思いっきりウルウルさせ(少女じゃないが、筆者もウルウルしましたよ)、コナーとミスティック・ヴァレー・バンドは去って行った。このいいバンドと共に今のロックンロール・モードをとことん追求してほしいものだし、たっぷり笑ってほしい。その結果がブライト・アイズにどんな新たなレイヤーを加えてくれるのか、楽しみだ。


Conor Oberst and The Mystic Valley Band

27August2008/The Electric Ballroom

ブライト・アイズでおなじみ:ネオ・フォーク界の王子コナー・オバーストが新バンド(といってもメンバーはBEと被っているのだが)と共に制作したアルバム「Conor Oberst」。BEとは異なりいい意味でバンカラ~レイドバックしたロック・アルバムだけにリリース後初になる今回のロンドン公演はニュー・モードを体験すべく楽しみにしていたが、レディング/リーズ・フェスティヴァル出演消化後というタイミング→フェスで羽目を外しすぎたのか(?)ステージ上で「体調悪いんだ~」とこぼすほどコナーの咽喉は不調で、中途半端な内容に終わってしまったのは残念だった。
とはいえ場内は満杯&今回もソールド・アウトで、前方はコナーをヒーローのように崇拝する10~20代の少年少女(その大半がかわらしいカップル)でスシ詰め。彼の一言一句・一挙手一投足にキッズの小さな胸は張り裂けんばかりに反応しているし、「You Are a Legend!」の掛け声も盛んに上がる。新世代の声、あるいはニュー・ディランというメディアの与えた形容句をオーディエンスが鵜呑みにしている・・・わけではないだろうし、もうちょっと冷静に見守っている年配客もたくさん混じっていたのだが、若いファンが発する愛情と過剰な熱に接していると――ここ数年BEのショウに行くたび感じてきたことなのだが――盲目的なアイドル視/偶像化が進行しているのでは?との思いもよぎる。この晩の決して100%とは言えなかったパフォーマンスに対してもやんやの喝采が上がり、「コナーのやることなら何でも受け入れる」型オーディエンスが増える一方の状況を目の当たりにして、ちょっと不安を感じもしたのだった。まあ取り越し苦労なのだろうが。

総勢6人のバンドは、近年のBEのビッグなプロダクションに較べてぐっと絞られた印象。しかしネイト・ウォルコットがステージ右端にキーボードで控えているせいか、マイク・モーギス抜きでも危なっかしさは感じない。ウォームアップ的な序盤を経て「Cape Canaveral」の訥々としたモノローグからグルーヴが軌道に乗り始め、オープンで飄々としたドラム・ビートが引っ張る「Danny Callahan」を楽しそうにプレイするバンドを見ていると、ロード・ムーヴィー~あるいはウェスタン(ロバート・ベントンの「Bad Comapny」とか)のガタゴト揺れるキャラバンや平野を行く馬上の一群の光景が脳裏に広がってきて微笑ましい。このどこかクラシックで大陸的なノリは続くカヴァー(「マーク・ボウェンの曲」と紹介していたけど、元フェイントのマーク・ボウェンだろうか?)のザ・バンドやトム・ペティを思わせるロックンロールにも流れていた・・・のだが、うーむ、優れたアメリカン・ロックのコンボが持つ一見ルーズなのにタイトな奏者間のインタラクション=味のあるケミストリーまでは、まだバンドの中に生まれていない。この顔ぶれでツアーし始めてそんなに時間が経っていないので厳しい注文をつけるのはフェアではないし、Mystic Valley Band自体がBEよりも表現アウトレットとして緩い=コンセプトよりもプレイしていて純粋に楽しい音楽を追求したものであるのも承知しているが、どこか身の丈以上のシャツに無理して袖を通した若者を見るようなぎこちなさがあった。
その印象を強めていたのが、他のメンバーがヴォーカルを取る場面。バンド・ユニットであってコナーの一人舞台ではないと強調すべく花を持たせたのかもしれないし、実際問題コナーの体調のせいで誰かが合間にリード・ヴォーカルを担当して彼に咽喉を休ませなければいけなかったというのもあるだろう。しかしカントリー・ソウル風の楽曲や70年代ロックなど、オーソドックスなだけに核になる牽引力が弱いとフラットに陥るタイプの曲をこなすにはまだバンドが若く(かつ全員のプレイヤーとしての力量はまちまち)、彼らが歌い始めるたび「ううう、コナー出てきてくれないかな」とつい感じてしまうほど。アンコールで披露されたフレッド・ニールの「Everybody’s Talking」のカヴァーも、選曲のセンスは買うがリハーサル中の手遊びの域をまだ脱していなかったと思う。そういうアラや綻びも含めて見せてしまう人間的なところがコナーの魅力でもあるし、ファンに慕われる所以でもあるのだが、この晩はそうした脇の甘さが随所に飛び出す才気で光り輝く場面をくすませる形にもなっていた。あー歯がゆい。
しかし、輝く場面でのコナーはやはり他にはないテンションとエネルギーでこちらを掴む歌い手だった。「Lenders In The Temple」のようにマイナー調の地味な楽曲で深いエモーションを醸し出す様にはやはり引き込まれるし、弾き語りから始まって徐々にバンド・アンサンブルに膨れ上がり、ドラムのブレイクから豪快にロック・アウト~ハンド・マイク状態で踊りながら歌う姿がトム・ヨークっぽかった曲で盛り上がった中盤以降、コナーもバンドもエンジンがやっとあたたまった感。そこから待ってました★「Souled Out!!!」のディラン味とユーモアに繋げる展開も爽快で、ギター・ソロもコーラスもばっちり決まってこれは文句なしの大喝采だった。本編ラストの「Milk Thistle」では弾き語りにエレキが色を添える程度のシンプリシティで再び場内を圧倒。アルバムの中でも一番好きな曲のひとつなのでじーんときたし、酒飲んで喋ってばかりの客が多いロンドンのギグとは思えないほどシンと静まり返っていたのも嬉しかったな。
アンコールの声に応えまずはバンドが登場。ここからしばしコナー抜きだったので正直ダレたが(ごめん)、ブレイクを終えて姿を現したコナーがメンバー/バディ紹介を行い再び場内の温度も上昇。珍しくストレートなブルーズ曲に突入し赤い照明もバー・バンドなノリを演出、ドラム・キットの上に立ちネックを掲げギターを熱演する姿には在りし日のジョナサン・リッチマンも思い浮かんだが、やはりその後に続いた「I Don’t Want To Die(In The Hospital)」の若々しくストレートなロックンロールとエネルギーの爆発の方が、今のコナーには似合っている気がした。ジャネット・ワイスの可憐なコーラスが恋しくもあったけど(このバンドは女っ気ゼロ)、あれは今後ライヴで長尺ジャムに発展してほしいトラックです。そのまま勢いに任せ疾走感いっぱいに終わってくれても良かったのだが、ラストに控えていた「Breezy」でダメ押し。コナーがキーボードにスイッチしランディ・ニューマン~ジョン・レノン的なシンプルな弾き語りからスタートするこの曲、わななくヴォーカルで切ない歌詞を堪能させた後にバンド一丸となってノイジーなアウトロの熱演に昇りつめていくエピックな構成がとても印象深い曲で、揮発性の液体みたいにいきなり燃え上がることもできるコナーのパフォーマー本能が全開する形になった。こんな風に興に乗ってアンストッパブルな山火事状態~何かが憑依した状態になるとやはりすごい人だが、いかんせん今回はむしろ残る体力を振り絞ってのラスト・スパートだったようで、キーボードの上に立ち、ステージを転げまわりと体当たりパフォーマンスで激しいシャウトを聴かせた後コナーは退場、メンバーもひとりまたひとりと去っていき客電が灯った。
未消化な部分もあるライヴだったが、コナーの後半のがんばりは買うし、あのガッツがあれば今後ツアーを続けることでもっとアンサンブルもまとまりバンドとしての地力もついてくるはず。今の段階ではコナーの瞬発力に頼っている感じで、シビアなロック客も納得させるほどのパワーはまだない。せっかくBEを一休みして始めたプロジェクトなんだし、このフォーマットでしかやれないことを目いっぱいエンジョイして歌い手としての新たなヴォキャブラリー/スタミナを伸ばしていってほしい。

コナー・オバーストを脱兎チェック!


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