Interviews

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ファックト・アップ・インタヴュー:パート2
08/08/26|Fucked Up
ファックト・アップ・インタヴュー:パート1
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Welcome to Our (Dark) Land
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On The Road
08/06/24|Pop Levi
Dandy in the Underground
08/06/19|Death Cab For Cutie
デスキャブ強化中!
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Three is a magic number
08/06/04|Joan As Police Woman
Hymn for life
08/05/16|Chris Walla
デスキャブ強化月間
08/04/16|It Hugs Back
Sweet noise into your heart
08/04/09|Foals
New Sound for Modern People
08/03/28|Jeffrey Lewis
Still Makin' Noise in New York
07/09/25|Patrick Wolf
Cub is Wolf now
07/08/07|Animal Collective
Pet Sounds 2007

ナロウ・ステアーズ

Death Cab For Cutie

デスキャブ強化中!

というわけでお待たせしました~~!ベン・ギバードfrom
デス・キャブ・フォー・キューティー
の登場です。ベンの童顔のせいか(ごめん)、はたまたセンシティヴ&ポップな世界観のせいか、ついいまだに「よっ!ナイスなベリンガム青年団」イメージを抱いてしまう彼らながら、デビューから11年/6作目新作「Narrow Stairs」で遂に全米アルバム・チャート1位達成というニュースは、サポーターのひとりとしてめちゃ誇らしかった。ツアーと優れた作品、そして出身地に根ざしたネットワーキング(ベンのポスタル・サーヴィスを代表格に、他アーティストとのコラボが盛ん。ベンが企画に参加した「Burn To Shine」シアトル編をぜひチェックいただきたし)という80年代から続くUSインディの基本姿勢を通じ、
Barsuk
時代から少しずつファンを広げ評価を獲得してきた彼ら。その成果が、気がついたらいつの間にかたくさんのリスナーを含む大きな雪玉になっていた――今回の1位はそんなオーガニックで無理のない展開から生まれたものだと思うし、誠実にいい音楽を作っているバンドがそれに見合う評価を得たという意味で、(その逆のパターンがあまりに多くウンザリさせられ通しの状況で)とても心強いトピックだった。
しかしそれ以上に嬉しかったのは、「Narrow Stairs」にみなぎる否定しようのないエネルギーとトータルな完成度。ベン自身話していたように、このアルバムにはデスキャブの過去と未来がぎゅっと凝縮されているし、ソングライティングからアレンジ、アルバム全体のフロウに至るまで、早くもクラシック・アルバムの趣きを湛えている点には正直圧倒された。彼らの音楽的脚力を思えばこれくらい優れた作品が生まれるのは当然かもしれない。しかし、6枚目にしてこれだけの充実度を維持し続けるバンドはなかなかいないんじゃないだろうか?先日知人と「バンドは思春期衝動の賜物」という話をしたことがあった。それはある面事実だけど、1、2枚目で引いた青写真がピュアで美しいのは当たり前。そこで燃え尽きてしまった方が「ロックンロール!」なんて考え方だってある。だが、そこからどれだけ音楽を深化させ、単なるヒット・フォーミュラの焼き直し/反復に陥ることなくイノベーションを続けられるかが、バンドの真の意味での生命力じゃないかと思う。記憶の絵の中にフリーズしたまま変わらない、「ドリアン・グレイ」型アクトも好きだ。しかし見るたび異なる色彩と意外な画面を提示しインタラクティヴな感動をもたらす、リアル・タイムなバンドと共に生き老いるという喜びもあっていいと思う。前に進み続けるバンド=DCFCの勇姿を、ぜひぜひ!サマーソニックで祝福&見守ってください。

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――「Narrow Stairs」は、6作目にして今なお健在なクリエイティヴィティ、変化、そして積み上げてきた経験が凝縮された素晴らしい作品だと思います。
ありがとう!
――で、この作品は今週まさに全米ナンバー・ワンなわけです。セールスが作品の良し悪しを決めるわけではありませんけど、この結果をどう受け止めていますか。
・・・やっぱり、前作「Plans」の大きな成功に続く作品、ということはあったよね。今回のアルバムのためにやったプロモーションや取材等アルバムのための前準備の量も増えたし、僕達全員すごく興奮させられたんだよ、「こんなにたくさんの人が自分達のバンドにまだ興味を抱いてくれてるのか!」って(苦笑)。だから大ヒットだった前作の後にこうしてアメリカで1位になれたのは、いいご褒美みたいなものじゃないかと思ってる。僕達がこのアルバムに傾けた労力に対するね。でも・・・もちろんそれがこの作品を作る動機だったわけじゃないよ。要するに、賞賛目当てでこの作品に向かったわけじゃないっていう。
――ええ。そもそもチャートの結果は人為的に操作できるものじゃないですし。
その通り!だからこそ素晴らしいし、全米1位になるなんてそうそう誰の身にも起きることじゃないからね。たとえばこれが10年前だったら、僕達の誰一人としてこのバンドがそんな域に達するなんて考えもしなかっただろうし、これだけ多くの人々が発売第1週目にアルバムを買ってくれたってのは・・・大抵の人は発売週にアルバムを買うもんだって点を差し引いてもすごいと思う。だから、僕達に新たな誇りをまた与えてくれたね。
――この結果はあなた達にとっても自然で漸次的なものだったんじゃないでしょうか?メジャー移籍第1弾作ということで、前作は当時ファンの間に「ソールド・アウト」なんて風評も生まれましたよね。振り返ってみて、いきなり今回のようなステートメント作を出すのではなく、前作――結果的には大ヒットでしたが――みたいに内省的で静かな作品を間に出すことで、ある意味ワン・クッション置いたのは正解だったと思います?
僕がなんというか・・・感じるのって、インディ時代に既にかなりのキャリアを積んできたバンドにとってのメジャー移籍第1弾作というのは・・・移籍後最初に出す作品がどんなものであれ、実は関係ないんじゃないかっていう。もちろん、「Plans」がメジャー第1弾作だったってのは純然たる事実だよ。だけど、それでアルバムを聴く前から作品に対する意見を固めちゃった人もいたと思うんだ、「これはデスキャブが魂を売るレコードだ」云々、なんて。それが自分達にも影響してきたし、「Plans」が出た頃僕はこう言ってたんだ、「『もしも僕達が本当にビッグなバンドになりたいと思ってるなら、このアルバム、「Plans」でそれをやるのは間違いだ、きっと失敗作だろう』って。とても静かで内省的な作品だったし、1曲か2曲ラジオOAされそうなスマートな曲もあったけど、全体に地味な作品だった。だから僕にとっては興味深かったんだ、その2曲が僕達にとって過去最大のラジオ・ヒットになった点がね。うち1曲は1分45秒経ってコーラスが始まるような曲だし、もう1曲は僕が部屋でアコギを弾き語ってるような、ごくシンプルなものだったから。でも、僕達みんなあのインディ→メジャーへの移行期にすごくナーヴァスになっていたとは思う。その後に続いた時期よりもずっとね。あの頃の僕達は、頭を低く下げたまま、「今までと変わらない、これまで通りだ」って風に自分達に言い聞かせてたんじゃないかな。でもこうして今振り返ってみると、あれは間違いなく心積もりしていた以上に困難な移行期だったんだと思う。新しいレーベルとどんな風に付き合うか学ぼうとしていたし、その前の7年間というもの、僕達は自分達の一番の友人3人が運営しているレーベルと仕事してきたわけだしね。それが突然、広いオフィスにビッグなデスクを構えてるようなスタッフ連とビジネスするようになったわけだから。
――「仕事」という思いが増したってことですか?
いやいや、必ずしも「仕事」って気分になったわけじゃないよ・・・ただこう、感覚面での変化はあった。っていうのも、僕達最初のうち「この新しいビジネス・パートナーの動機は何なのか、その真意を見極めなくちゃ」って風に構えていたわけだけど、そこから徐々に彼らを信頼する術を見つけていって、遂にはいい関係を結べるようになった。もちろん彼らの求めるゴールと僕達のゴールとの間にちょっとしたズレはあるけど、結局のところ僕達はもっと数多くの人々に音楽を届けたいからこそメジャーと契約したわけだし、その通りの結果になった。だから自分達の決断は間違っていなかった、そう思ってる。
――ではメジャーとインディの間であなたが感じた一番大きな違いは規模の差?
・・・うん、ほんと、物事が動く際の規模の違い、そこだけだったと思う。とにかく本当にもっともっとたくさんの人間がバンドのために動くことになるし、彼ら全員それぞれ別々の仕事を担当してるっていう。たとえばツアーやプロモでこれまで自分達が行ったことのない街に着くと、その街にはレーベルからのラジオ宣伝担当者がちゃんと常駐してて、彼らに挨拶することになるっていう。だからまあ、そういう「物量の変化」なんだろうね。より多くの人間にリーチするべく設計された、もっと大きな組織っていう。だから最初のうちはこっちもぎこちなく感じたし、その動きに身の丈を合わせるのに戸惑いもした。でも、これまでのところ彼らとは素晴らしい経験を共にしてきたと思う。新しい経験ってのは何であれそうだけど、最初は居心地が悪くても、そこから徐々に慣れていくっていう。
――大組織に移ることは相応の責任やプレッシャーも伴うわけですが、そこに関してももう「大丈夫」という手ごたえがあります?
うん。それは新作にも現れているんじゃないかと僕は思っていて。「Plans」よりずっと確信に満ちた作品だと感じるし、楽曲のクオリティも総体的に良くなって、プレゼンテーションの仕方もずっと面白くなったと思ってる。で、それはすべて現実的な姿勢から生まれたものなんだ。この作品のレコーディングのためスタジオ入りすることになった時も、何万枚も売れたアルバムを出した後なのに、僕達は別にスタジオの進行係だの追加エンジニア要員、ギター・テックなんか使わなかった。車で毎日スタジオに送り迎え・・・なんてこともしてもらわなかったし。
――(苦笑)。
だから、ぐるっと一周し終えてまた円環の最初に戻った、そんなフィーリングが強くあったんだ。僕にしてみたら、最初の1、2枚目のアルバムを作った時と同じような感覚があったっていうか・・・あのレコーディングの時も、今回みたいにひとつの場所に集まって録音機材をそこに持ち込んでただ作品を作っていったわけだからね。ほんと、「Plans」の成功があったにも拘らず僕達のうち誰も「あのサクセスをもう一度再現しなければ!」みたいな必要性やプレッシャーは感じてなかったと思う。それよりあの成功によって本当に解放され始めたというか・・・やっとこう、最初の課題が終わったっていうのかな(苦笑)、メジャーとやることに決めてそれがいい結果を生んで本当に良かった、っていう。もちろん今後も彼らとやっていければ良いと思っているし、新作もこうして健闘しているわけだけど、それ以上に・・・今いるレベルに自分達は存在し続けることができるって証明することができたというか。そこをいったん確立してしまいさえすれば、そこからはメンバー同士お互い楽しみながら作品を作ることができるようになるんじゃないか、という。
――『「Narrow~」がDCFCにとっての真の意味でのメジャー・デビュー作』と評したらどう思われますか?「Plans」も非常に好きな作品なんですが、個人的にこの作品の方がパワフルだと思うし、今後あなた達にとっての代表作になるのでは?とも感じるのですが。
なるほど。面白いね。というのも、僕のとても親しい人達のうちの何人かも、同じようなことを言っていたから。「このレコードはでっかい作品になる」みたいな。でも、自分としては・・・(苦笑)。
――・・・作り手として作品に近すぎて、そういう風に観るのは難しい?
だと思う。もちろん・・・そりゃやっぱり、毎回新しい作品の方が前作を上回ればそれはグレイトだよ。ただ僕が思うのは・・・本当にそう思うんだけど、このアルバムは・・・この作品は過去5枚のこのバンドを本当によく表したものになっているんじゃないか、ということで。たとえば友人連中に最初にアルバム曲を聴いもらった時・・・ロング・ウィンターズのジョン・ローダーにまず「Cath」を聴いてもらったんだ。で、彼の感想は「なんか98年ごろのデスキャブっぽいね」ってもので、僕も「あ、確かに!」って思ったっていう(笑)。なんというか・・・オールド・スクールなデスキャブ風楽曲っていうのかな。要するに、ビルト・トゥ・スピルあたりの影響がまだ強く残っていた頃の僕達っぽいっていう。
――確かにあの曲はそうですね。
だから、このアルバムはトーンの面で過去5作より広がったと思うけど、同時に過去5作それぞれを通じて僕達が掴んできたいい面にそれぞれちゃんと光を当てることができたんじゃないか、と。いわば、それらのいい面をひとつにまとめて、素晴らしいパッケージを生み出したっていう。「Plans」を今聴き返してもあの作品を誇りに思う気持ちは変わらないし、それはこれまで作ってきたどのレコードに関しても同じなんだ。ただ、あのアルバムにはナーヴァスな箇所や躊躇も感じられるし・・・もちろん、それがとても美しい瞬間をもたらすことにもなっているんだけど、それゆえにあれが「デスキャブのベスト・レコード」になる妨げにもなっていたんじゃないか?と。で、この作品に関してはこれまでのところライヴでプレイするのを心底エンジョイしているし、聴き手もすごく楽しんでくれてるみたいで。このアルバムが僕達にとって最大の作品になってくれたらそりゃ僕も興奮するだろうけど、一方でこの作品が全然売れなかったとしても自分としてはOKだっていう。というのも、この作品をとても誇りに思っているから。でも・・・僕はいつもなんというか、すべてが振り出しに戻ったら面白いなと感じていて。だから、もしかしたらこのバンドはまだまだ先に進める、この新作の後に更に何百万という人がこのバンドを聴いてくれるんじゃないか?とも感じるし、あるいは、もしかしたら「Plans」を気に入ってくれた人はこの作品が気に入らなくて、前作の半分くらいのセールスに留まるのかもしれない。それでもまあ、100万枚の半分だからいいか、みたいな。
――ははは!
というわけで、ある意味バンドの最初の地点に戻った気がしたっていうのかな。だから、更にブレイクしても前作より劣っても、どっちに転んでもOKな状態に今の僕達はいるっていう。で、このアルバムの制作をあんなに楽しいものにしてくれたのも、そういう思いがあったからなんだ。自分達自身お互いに音楽作りとレコーディングを心底楽しんでインスピレーションを受け取ることができたなら、結果がどうなろうともその作品は成功作だ、と。100万枚売ろうと思って作ったレコードなのに1000枚しか売れなかった、だから昼間のバイト仕事にまた戻るしかない・・・なんてことはもうないわけで、そのレベルを越えた何かを確立したと思うし。だから・・・今の僕達がいちばん集中すべき点というのは、バンドをエンジョイすること、そして可能な限りベストな音楽を作り、音楽と自分達をできるだけ正直で嘘のない形で打ち出していくってことになるんじゃないかな。
――「ライヴが楽しい」と仰ってましたが、先日のエレクトリック・ボールルームでのロンドン公演も本当に感動的でした。あなた達のライヴは何度も観てきましたが、新たなエネルギーと使命感のようなものが感じられて・・・。
うんうん。
――で、そのエネルギーが新作にちゃんと反映されているのが非常に嬉しかったし、今のデスキャブはレコーディング音源とライヴ・パフォーマンスのバランスがベストに達しているとも思いました。
ありがとう!そうだね・・・新作の大半は、実際ライヴでひとつの部屋で録音したんだよ。それが間違いなく作品にも活きているんじゃないかな。というのも・・・この作品に関しては「Plans」との比較でしか語ることができないんじゃないかと思うけど――というのも、2枚はすごく対照的な作品だからなんだけど――「Plans」では、僕達すべてトラックごとに録っていったんだ。ドラム・マシーンとかシークエンサー、そういう楽曲を繋ぎ止める、いわば錨の役割を果たす要素がまずあって、そこから楽曲の多くを「建築作業」みたいに組み立てていったんだ。その上にドラムを乗せて、次はベース、そしてギターって具合に。
――もっと入り組んだプロセスだったんですね。
その通り。持ち込んだ楽曲の多くもピアノがベースの曲だったり、エレクトロニック調のブリープやノイズ混じりの曲だったり・・・で、そうした楽曲をプレイし始めてみて・・・あのアルバムの中の曲にも、ライヴですごく活きる曲はもちろんあるよ。ただ、やっぱり凝った作りだったという。で、今回のアルバムはそのほとんどをライヴでバンドとして録ったこともあって・・・いったんリハーサル・ルームに集まってあのアルバムの楽曲を演奏し始めると、あっという間にライヴで演る時の形にもっていくことができるんだ。自分達のプレイヤーとしての「筋肉」がまだあのアルバムの楽曲をちゃんと記憶してるっていうか。だから最近ライヴでプレイし始めた新作の楽曲は、「Plans」曲よりも僕としてもすごくスピーディーに、かつベターな形でライヴに移し変えられているんじゃないかと思う。
――デスキャブの看板とも言える美しいギター・ポップ曲もありつつ、これまであまり前面に出てこなかったダークなビッグ・ロック・サウンドが作品全体にコントラストと幅を生み出しています。内省的でデリケートな作りだった前作の反動といえます?
うーん、僕にとってのソングライティング面における最大の違いと言ったら、「Plans」では作曲にほとんどギターを使わなかったって点なんだ。それはまあ、やっとピアノを買って自宅に置くようになったってのが大きかったんだけど、音楽をプレイしたいと思ったら即その前に座る、いわば僕にとっての「まず最初に向かう楽器」がピアノになったんだ。その点ギターは・・・今も相当ボロいアコギを使ってるんだけど(苦笑)、でもこのギターには魂がびっちりこもってるっていうのかな、「I Will Follow You Into The Dark」も実はこのギターで書いて演奏したんだ。それもあって愛着はすごく強いんだけど、演奏しやすい、なじむギターってものじゃなくてね。弦がやたらとネックの上にまで飛び出してるとか、ネックそのものがあんまりいい感じの手ごたえじゃなかったり。それもあってあのギターを手にするたび、なんというか曲を書く気が殺がれるというか、だったらもうピアノでやっちゃえってことになった。でも今回に関しては、弾くのが本当に気持ちいいギターにやっと出くわすことができたってのが大きかったんだと思う。で、ギターがベースの音楽をもっと聴くようになって。要するにこれもまたワン・サイクル終えて始点に戻ったようなものなんだけど、ギター・ミュージックをもっとエンジョイするようになったんだよね。それもあったし、ギターを手にしてとにかくノイズを出してみようって風にインスパイアされもしたし・・・そういえば面白かったんだけど、どうしたわけか音楽なしで歌詞しか手元にない状態のインタヴュアーからこの間新作向けの取材を受けてね。ドイツ人ジャーナリストだったんだけど、いかにもドイツ人らしい、実に科学的で詳細な分析を試みてくれて、しかもその質問は歌詞だけがベースっていう。
――ははは!可哀相だなあ。
で、曲を聴かない時点で「No Sunlight」について訊いてきたんだけど、「あなたの音楽には大抵希望の余地が残されているのに、この曲では遂にすべての希望が尽きましたね」って言われて(笑)。でも、僕からするとそれって異なる物事を対比的に並べるってことであって・・・このアルバムには間違いなくすごくダークなテーマが存在するし、扱っているテーマも重いよ。だけどそれは人生と同じことで、闇と光とを並列させないと。そうやって・・・正気を保つっていうのか(苦笑)。陰/陽ってことになるけど、たとえば「No Sunlight」みたくとても重く暗い歌詞なのに、曲調そのものはアルバム中いちばんポップ、みたいな。そうやってふたつの要素を1曲に盛り込むことで、曲の感情にバランスをもたせ、歌詞の持つ暗さ和らげているんじゃないかな。
――じゃあ、たとえばライヴで重い歌詞の曲のコーラスをファンが嬉しそうに合唱している様を眺めながら、ちょっと後ろめたい快感を得ることもあったり??
うんうん! 自分の目から見て一番不思議なのって、「Tiny Vessels」を演る時で。あの曲をプレイしながらふと最前列を見ると、カップルが大声でコーラスを歌ってて・・・あれはすんごーく妙な気分になるんだよ、僕としては。
――分かります(笑)。で、大作「I Will Posess Your Heart」は本作の中核を成す曲だと思いますが、あのすさまじいベース・ラインはどんな風に生まれたんですか?
ほんとそうだよね、うん、ニック(B)があの曲をモノにしてくれた。マジにニックの手柄だよ。あの曲の原型を僕が持ち込んだ時点では、ピアノのコードとメロディ程度のものだったんだ。要するに歌の基本的な骨格パートはあったけど、それらのパートを繋げる、いわば「接着剤」がまだなかった。で、ニックがいったん家に帰ってスタジオにあのベース・ラインと共に戻ってきて、それがもう、とにかく完璧だったっていう。あの曲があんなに長いのもそのせいなんだ。とにかくあのパートをプレイするのがすごく気持ちよくて、僕達としてもストップしたくなかったっていう。
――それはこっちも同じですよ!先だってのギグの時も、「このリフをえんえん10分くらいプレイしてもらってもOK」って感じました。
ほんと?みんなにも伝えておく!(苦笑)
――それはともかく、じゃああの曲はニックが加わることで本当の意味で「生きてきた」わけですね。
うん、彼は本当にあの曲を引っ張ってくれた。長いイントロを頭に持ってくるってアイデアが誰のものだったかはもう覚えてないけど、いったんみんなで演奏し始めて、アイデアを具体化させていくうち自然にああなっていったっていう。「これは・・・すごくプレイしてて気持ちいいぞ!」みたいな。あれと似た感覚を抱いたのが、「Transatlanticism」(アルバムではなく曲)のラストのあたりだったんだ。みんなであのパートを淡々とプレイしてるだけでも、ほんと気持ちよくてそのまま続けたくなる・・・で、プレイしている側にとってこれだけ気持ちよければ、きっと聴き手も演奏をエンジョイしてくれるだろう、と(笑)。そういう状態が生まれてその流れが自然に楽曲を引っ張っていくことになったら、自分の本能に耳を傾けるというか、流れに乗るのが一番じゃないかな。
――他の楽曲もそんな風に本能的というか、ジャムから形を成していった?
いや、曲によりけり。今でもそうだけど、曲の骨格部をバンドの中に持ち込む役はやっぱり僕なんだ。ジャムりながら曲を書くってことは今までやったことがないし、僕達はそういうバンドではないんだ。ジャムからってパターンも試してみたけど、やってみてもまごつくだけだったっていう。だからこのバンドのそういう性質を考えてみても、僕が何らかの構造、曲の骨組みを持ち込むのがベストなんだろうね。で、その骨組をみんなでいったんバラして、それを再びひとつにまとめていくっていう。「I Will~」に関してはニックがあのベース・ラインを持ってきて、そこにジェイソン(Ds)がビートを加えたことでひとつにまとまって、最初の段階とはまったく別の形の曲になった。一方「Cath」みたいに、僕が最初に書いた形をほぼそのまま踏襲している曲もあって。あの曲に関してはベースやドラムのパートまで最初に書いたオリジナル・ヴァージョンと逐一同じ。でも「Ice Getting Thinner」では僕が持ち込んだのはピアノ・パートとヴォーカルだけで、クリス(G/Keys)がピアノのパートを取り去って、そこにまったく別の音楽を付け加えていった。だからあの曲に関しては、ヴォーカル部を除いて僕の貢献はなし、音楽パートは全部クリスが書いたものっていう。だからまあ・・・うん、僕達はそういう「瞬間」を捉えるのが上手いんだと思う。で、お互いオープンに自分の意見を出していくっていう。


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