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08/12/31|My Personal Best 2008 Vol.4
極私的年間ベスト―④
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極私的年間ベスト―その①
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Lightspeed Champion
08/04/04|Bumper Review 1
Sons and Daughters

ファック・ボタンズ

Fuck Buttons

Street Horrrsing(ATP Recordings)

地味にゆーっくり、しかし自分なりにコンテンポラリー・ミュージックを味わい探求し続けているつもりの「アマチュア音楽ファン」を自称する僕だが、ここのところちょっと変わった流れが生まれているように感じるのは気のせいだろうか。たとえばバトルズみたいにプログレな(ポップではあるが)バンドがライヴを次々完売させ、マス・ロックと同じくらいザ・キュアーやラプチャーから影響を受けたフォールズのようなバンドがアルバム・チャート3位(UK)を達成する・・・?――そんな状況を眺めているとイギリスのシーンに変化が起きつつあるのを感じずにいられないし、そこに登場したファック・ボタンズのアルバム、これは今のムードにどんぴしゃにはまる作品だと思う。

ファック・ボタンズのサウンドはアウト・ロックの野性的な咆哮とノイズ・ロックの爆発、クラスターのメロディックな感性、そしてデトロイト・テクノのアンセミックな盛り上がりを混ぜ合わせた麗しいミクスチャーと言える。しかしこの2人組を際立たせているのは、この手の爆音ならロード・アイランドやブルックリン勢にお任せ~!という暗黙のルールに反し、彼らが英ブリストル出身アクトだという点。もちろん、ベテランマシュー・バウワーのSunroof!を聴いてもらえばUKからもこうしたサウンドが生まれてきたのは何もこれが初めてじゃないことは明らかだが、アンドリュー・ハンとベンジャミン・ジョン・パワーのふたりはUKアヴァンギャルド・サウンドをよりアクセスしやすい――というかポップとすら形容できるサウンドに仕上げてみせた。レイヴをまんま再現しようとするのではなく、レイヴを展示物として捉え直そうとするアプローチ、とも言えるだろう。

本デビュー作でプロデュースを担当したのはモグワイのジョン・カミングス(レコーディングはパート・チンプのティムのスタジオで行なわれたそう)で、マスタリングはシェラックのボブ・ウェストン。盟友アルビニの仕事ぶり=サウンドをあるがままに捉え、一切の虚飾なしに盤に移し替えること――を正確に踏襲しているボブの腕はさすがだし、いい布陣だ。結成は2004年とまだバンドとしては若いだけに当然の話だが、この作品はライヴのセットをそのままCD(アナログ好きにはがっつり2枚組が控えてます!)に記録したものになっていて、それこそ生で聴かせる一音一音、ブリープ音のひとつひとつがすべて刻まれていると言える。一聴した段階では、彼らのライヴ・パフォーマンスの大きな魅力であるあのテクノ・ジャンボリー的なやなんちゃな楽しさが薄いのでは・・・?とも感じるが、聴き返すうちにライヴとは異なるこの作品独自の味が出てくる。
まずは精度の高いアルバム1曲目、「Sweet Love for Planet Earth」。オーガズミックな至福感からしてたまらないし、ライヴの幕開け同様ファック・ボタンズが描き出していくミニ・コスモスへの見事なイントロダクションでもあるこの曲は成層圏の彼方で鳴っているように美しくフラジャイルなサウンドを経てやがて激しいうねりに炎上、地球めがけて直下していく・・・水面下に墜落した聴き手を待つのは、骨を打ち鳴らす類人猿の暮らす洞窟に響くごときプリミティヴなスケルトン・ビートに彩られた「Ribs Out」・・・というわけで、ここまで聴いた段階でポポル・ヴーのフロリアン・フリッケが聴いたらさぞや喜びそうな展開!と嬉しくなる。「Okay Lets Talk About Magic」でもダイナミックな音のアタックは続いていくが、そこからクラウト・ロック型の反復マントラへ徐々にサウンドは変容していく。ゆっくり染みてくるいい曲だね。「Race You to My Bedroom」「Spirits Rise」はブラック・ダイスの美味しいところをぎゅーっと凝縮した原始スープから始まりゴッドスピード的虚無へと昇華、そしてカール・クレイグを思わせる無機的グルーヴがアルバムのラスト「A Bright Tomorrow~Colours Move」を締め括っていく。

「Street Horrrsing」が長く聴き次がれるタイムレスな魅力を持つクラシック・アルバムになっていくのかどうか、それを判断するのはもちろんまだ早計だとは思う。しかしその予感は充分に感じさせる手ごたえのある音楽だし、もしかしたらこのアルバムは今の若い世代にとっての「Mogwai Young Team」になり得る作品なのでは?とも感じる。モグワイも約10年ほど前にあのアルバムで(ファック・ボタンズ同様)ノイズ・ロックをもっと広い次元に推し進めてみせたいわばパイオニアなわけだが、もしもこのアルバムが今から2年くらい前に出ていたら、ファック・ボタンズはアングラのカルト・バンドに終わっていたんじゃないかと思う。しかし実際今のキッズは彼らのライヴにはせ参じているし、このアルバムに対する評価も高い。「潮流の変化」は間違いなく起きているようだ。

ファック・ボタンズのマイスペースはこちらからどうぞ。

所属レーベルATPのサイト。「Bright Tomorrow」のトランシーで素敵なビデオがストリームされてます★

ファック・ボタンズ「Street Horrrrsing」を脱兎チェック!


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